民事信託の際に気を付けるべきリスクや注意点を解説!

民事信託契約は万能だと言われますが、万能という言葉ばかりに意識がいってしまうと落とし穴にはまってしまう可能性があります。

そこで、今回は民事信託契約作成の際に気をつけておきたいリスクや注意点について解説をさせて頂きます。

 

民事信託とは

民事信託とは、原因となる経済行為が贈与であり、主として財産の管理又は承継のために用いるものをいいます。

詳細は別の項目に記載しております。

商取引として行われる商事信託とは別のものになります。

民事信託の概要をより詳しく知りたい方は、下記記事もあわせてご覧ください。

民事信託とは?仕組みを徹底解説!

 

民事信託の際に気を付けるべきリスク・注意点

続いて、今回のメインテーマである民事信託の際に気を付けるべきリスクや注意点について解説します。

1 民事信託は家族間の信頼関係が重要

民事信託契約では基本的に親族を受託者とする制度になっています。

その意味で家族信託と呼ばれることがあります。

受託者には負担を課することになりますし、契約期間は長期間に及んできます。

そのため、財産を委託する委託者と財産の管理等を任された受託者との間には信頼関係が必要となってきます。

信頼関係のないまま信託契約を締結すると様々なトラブルが生じる可能性がありますので注意を要することになります。

 

2 成年後見制度の代わりにはならない

民事信託契約は、いったん締結してしまえば契約が発効するので、成年後見制度よりも柔軟で使いやすいと思われがちですし、そのようなことを書いた文献を目にすることがあります。

しかし、民事信託契約と成年後見制度ではそもそもの目的が異なるため、民事信託で成年後見制度の完璧な代わりをすることは不可能です。

 

具体的には、民事信託契約では特定の財産の管理を委託するだけで、例えば、認知症の影響で契約をしてしまったというような場合において、契約の取消しをすることまで認められません。

成年後見人は、財産管理及び身上監護に関する事務を包括的に行う権限が定められており(民法859条等)、契約を取り消すこともできます。

両者は全く別のものであり、制度として併存することになります。

 

3 損益通算ができないため、税制上で損をする可能性がある

民事信託は、遺言などと異なって、委託者本人が元気なのに受託者である家族に財産管理を任せることになります。

あまり設定されることはありませんが、他益信託を設定した場合信託の時点で贈与税がかかることになります。

通常相続税と比較して贈与税の方が高くなる場合が多いので、信託の設定の仕方によっては税務上損をする可能性があります。

信託設定にあたっては税金のこともよく考えて設定することが必要になります。

 

4 民事信託で決めておくことができない事項がある

相続対策や認知症対策として、予め「誰が何を管理するか」を決めることができる民事信託契約ですが、中には対策することのできない財産も存在します。

以下、具体的にみておきます。

①農地について

農地は、所有権の移転にあたって農業委員会の認可が必要になります。

そのため、信託だけで所有権の移転ができないという点で信託財産にすることができないのです。

②年金

年金受給権は、その人個人に帰属するという意味で一身専属権になっております(国民年金法、厚生年金法)。

したがって、他の人に帰属させることはできませんので信託財産にすることができません。

③遺留分侵害額対象財産の順序指定

民事信託を用いた場合でも遺留分制度を排除することはできません。

現行法の下においては、遺留分侵害額請求権が行使されると金銭を支払うことが必要になります。

したがって。遺留分侵害額対象財産の順序指定をすることはできません。

 

民事信託は依頼できる専門家が少ない?

民事信託については近年急激に注目を浴びるようになったため、顧客が抱える問題に対して的確に対応できる専門家が少ないのが現状です。

専門性をうたっているような場合でも、ひな形通りの仕事しかできずオーダーメード信託を実現できていないところもあるようです。

民事信託については、法律、税務の総合的な知見を要するものであり、普段から民事信託に力を入れている専門家を探して相談するようにしましょう。

 

なお、神戸マリン綜合法律事務所では、案件取扱件数の多い弁護士・税理士が在籍しており、また、民事信託士も在籍しております。

信託銀行や司法書士の先生との連携もできております。

民事信託契約の作成サポートが可能です。

神戸市垂水区、須磨区、西区だけではなく兵庫県一円、全国の皆様のご相談に対応させて頂きます。

 

まとめ

今回は民事信託のリスクや注意点について解説しました。

民事信託は万能だと言われていますが、万能という言葉ばかりに意識がいってしまうと落とし穴にはまってしまう可能性がありますので、今回解説したリスクや注意点を踏まえて民事信託に力を入れている専門家に依頼を検討しましょう。

 

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