成年後見人という言葉を耳にしたことはあるけれど、具体的にどんなことをする人なのか?どういった時に必要になるのか?などよく分からない方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな成年後見人について概要や誰が成年後見人になれるのか等詳しく解説します。
目次
成年後見人とは、認知症等によって判断能力が著しく低下した方を支援する人
まずは成年後見人について概要を解説します。
目次タイトルの通り、成年後見人とは、認知症等によって判断能力が著しく低下した人に代わって、財産管理や身上保護を行う人のことです。
成年後見人には、本人の親族や知人、弁護士などの法律・福祉の専門家等が選任されます。
また、成年後見人は複数の人を就任させることもできます。
成年後見人を選ばなければならない事例
成年後見人を選ばなければならないケースとしては下記のような場合が挙げられます。
- 認知症により著しく判断能力が低下している
- 病気やけがによって一時的に判断能力が低下している
- 家族や親族がおらず、身上監護や財産管理に不安がある
- 判断能力が低下している人の財産を親族等が勝手に使っている
- 遺産分割協議を進められない
成年後見人になれる人・なれない人
成年後見人になるには、特別な資格は必要ありません。
以下のような方が成年後見人になることができます。
親族の場合
- 配偶者
- 子
- 親
- 兄弟姉妹
- 祖父母
- 孫
専門家の場合
- 弁護士
- 司法書士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
その他
- 成年後見支援法人
- 地域の市民
成年後見人になれない人
- 未成年者
- 過去に成年後見人等を解任された者
- 破産者
- 被後見人に対して訴訟をした人とその配偶者、直系血族
- 行方不明者
成年後見人の職務内容
成年後見人の職務内容は下記の3点ございます。
- 預貯金の管理や不動産の処分を本人に代わって行う
- 介護契約や施施設入所契約等を本人に代わって行う
- 家庭裁判所に年1回、職務内容を報告する
それぞれ解説します。
預貯金の管理や不動産の処分を本人に代わって行う
被後見人は自分で預貯金の管理や不動産の処分を行う能力を失っています。
そこで、被後見人に代わり成年後見人が預貯金の管理や不動産の処分を行います。
成年後見制度は、被後見人のためにある制度のため、預貯金の管理や不動産の処分について、被後見人の利益になる必要がございます。
介護契約や施施設入所契約等を本人に代わって行う
成年後見人の職務内容には、被後見人の身上監護もございます。
成年後見人が直接被後見人の介護や看護を行わなければならないわけではございません。
介護が必要な場合に、介護してくれる人や介護施設を探して契約などの手続きを本人に代わって行う義務がございます。
家庭裁判所に年1回、職務内容を報告する
成年後見人は、被後見人の財産を管理しているため、電気・ガス・水道などの領収書も保管しておき年間の収支を毎年家庭裁判所に報告する必要がございます。
成年後見人制度の種類
成年後見人制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つの種類があります。
それぞれ解説します。
法定後見制度は、既に認知症等である方に向けた制度
法定後見制度は、既に判断能力が不十分になった方を対象とした制度です。
法定後見制度には、「補助」「保佐」「後見」の下記3つの類型があります。
本人の状態に応じていずれかの審判を受けることになります。
対象 | 備考 | |
補助 | 判断能力が軽度に不十分な方 | 補助人ができる行為は限定的。
裁判所が審判で定めた特定の行為に限る。 |
保佐 | 判断能力が著しく不十分な方 | 本人が行う所定の行為(借金・訴訟・相続放棄等)に関して、保佐人の同意が必要になる。
同意を得ていない場合は保佐人による取消権行使も認められる。 |
後見 | 判断能力が著しく不十分かつ本人の意思決定が困難な方 | 後見人は本人の財産に関するすべての行為を代理で行うことができる。 |
任意後見制度は、現在は認知症等ではない方に向けた制度
任意後見制度は、現在判断能力が十分な方が、将来認知症等で判断能力が不十分になった際に備えて、あらかじめ任意後見人を選んでおく制度です。
任意後見制度のメリットは以下の通りです。
- 本人の希望に沿った支援を受けられる
- 判断能力が不十分になった際にスムーズな支援の開始が可能
- 専門家の支援を受けることができるため、家族の負担が軽減できる
まとめ
今回は成年後見人について具体的にどんなことをする人なのか?どういった時に必要になるのか?などよく分からない方に向けて、詳しく解説しました。
成年後見人は、被後見人の尊厳と自己決定権を尊重しながら、その人の人生を支える重要な役割を担っています。
成年後見制度は、弁護士や司法書士などの専門家に煩雑な手続きを依頼することが可能です。
また、判断能力が不十分になった場合の財産管理については成年後見制度以外にも民事信託などの他の方法もございますので、どの方法が最適なのか慎重に検討することが重要です。
どの方法を選ぶべきか等お困りの際は、神戸マリン綜合法律事務所にお気軽にご相談下さい。