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民事信託契約書は公正証書にするべき?メリットデメリットをご紹介!

世の中では民事信託、家族信託という言葉を耳にしますが、信託の契約書は自由に作成できるのでしょうか。

それとも公証人役場において公正証書にすべきでしょうか。

今回はそんな疑問に答えさせていただきます。

 

民事信託契約書は公正証書にするのがおすすめ

結論から申し上げますと、民事信託契約書は公正証書にするのがおすすめです。

民事信託契約書は私文書で作成した場合でも有効にはなりますが、私文書で作成した場合、「後日紛争になるリスク」「原本を紛失してしまうリスク」「金融機関が信託口座の開設に応じてくれないリスク」などリスクが多くあります。

上記のようなリスクを防ぐためにも民事信託契約書は公正証書にするのがおすすめです。

公正証書とは?

公正証書とは、私人(個人または法人)からの嘱託によって公証人(検察官や裁判官、または法務局長などの選ばれた法律の専門家)によって作成された公文書のことをいいます。

公正証書には公正な効力が生じ、高い証明力や執行力があります。

公証人役場は主要都市に設置されており、誰でも利用できます。

 

民事信託契約書を公正証書にするメリット

民事信託契約書は私文書で作成することもできますが、公正証書にした方がメリットが多いです。

この記事では主な以下3つのメリットをご紹介します。

  • 契約書作成後に生じる可能性のあるトラブルのリスクを回避できる
  • 信託口口座が作成できる
  • 原本を公証役場に保管してもらうことができる

メリット①契約書作成後に生じる可能性のあるトラブルのリスクを回避できる

まず、1つ目のメリットは契約書作成後に生じる可能性のあるトラブルのリスクを回避できます。

具体的には、私文書で信託契約書を作成した場合、後に「本人の意思で作られたのか」「契約書作成時の判断力は適切だったのか」などが疑われトラブルになるリスクがあります。

一般的に民事信託の契約書は高齢の方が作成される場合が多く、私文書の場合、作成当時に行為能力があったのかどうか疑義が持たれ、訴訟になった場合に本人の意思に基づくものかどうか争われる可能性があります。

これに対し、公正証書であれば、契約書作成時に公証人の面前で本人の意思確認を行うため、前述のトラブルになるリスクを軽減することができます。

メリット②信託口口座が作成できる

民事信託に対応できる金融機関(数は少ないですが)では、信託契約公正証書に基づき、受託者が「信託口口座」を作成することができます。

信託口口座は、死亡など受託者の任務終了事由が発生したとしても、信託契約書の中であらかじめ指定された「後継受託者」がスムーズに口座を引き継げるものになります。

信託口口座の開設については別に書かせていただきますが、差押え等がなされた場合、委託者や受託者の財産と信託財産を明確に区別するために作成しておく必要があるので作成しておくべきものになってきます。

メリット③原本を公証役場に保管してもらうことができる

公正証書の原本は公証人役場に保管され、契約関係者には正本や謄本だけが渡されることになります。

そのため、万が一正本を紛失してしまっても公証人役場において証書の再発行が可能になります。

 

民事信託契約書を公正証書にするデメリット

前章で民事信託契約書を公正証書にするメリットをご紹介しましたが、この章ではデメリットをご紹介します。

民事信託契約書を公正証書にするデメリットは以下の2点です。

  • 費用がかかる
  • 手間がかかる

メリットとデメリットを踏まえて民事信託契約書を公正証書にすべきかご検討ください。

デメリット①費用がかかる

公正証書の作成には、信託財産の評価額によって、作成費用がかかります。

作成費用のおおよその目安ですが、承継財産や受託者に対する報酬を基準に算出されることになり、3万円~15万円の範囲になってきます。

デメリット②手間がかかる

公正証書を作成するには、公証人と事前に綿密な打ち合わせ(面談)を行う必要があります。

また、公正証書作成する当日には公証人のもとで本人確認を行い作成するため、関係者だけで作成できる通常の契約書(私文書)に比べると手間と時間がかかります。

一般的に打ち合わせ自体は難解な法律用語が出てくるため大変な場合が多いです。

そこで、弁護士などの法的専門家に依頼をすると、事前の打ち合わせを代わりに行ってもらうことができるため手間を省くことは可能です。

 

公正証書を作成する手順

続いて民事信託契約書を公正証書で作成する際の手順について解説します。

ご自身で公証役場に出向く場合の手順

まずはご自身で手続きする場合の手順について解説します。

ご自身で公証役場に出向く場合は以下のような手順を行う必要があります。

①契約内容を決める

家族間で民事信託の契約内容を話し合って決定します。

内容としては、「誰を受託者にするのか?」や「どの財産を信託するのか?」「信託内容はどのような内容にするのか?」等です。

②最寄りの公証役場を探して面談の予約をする(WEBサイトが用意されています)

最寄りの公証役場を探し、電話やメールで面談の予約を行いましょう。

面談前に①で決定した民事信託契約内容を示す資料を事前に準備しておきましょう。

③公証役場に行く

②で予約した日に公証役場に行きます。

この日に契約内容を公証人に伝えて、問題がないかなど確認を行います。

必要なものは「本人確認書類と印鑑」となります。

「本人確認書類と印鑑」は以下のうちどれか一つ用意していただくことになります。

  • 運転免許証と認印
  • パスボートと認印
  • 住民基本台帳カード(顔写真付き)と認印
  • 印鑑証明書と実印

その他、個別の案件によって、委託者の財産を特定できる書類(登記簿謄本、車検証、通帳、株券等)のコピーなども合わせて用意していただくことになります。

④公正証書作成の日時を予約する

公正証書を実際に作成する日は面談日とは別日になります。

改めて公正証書を作成する日を予約します。

⑤公正証書を作成する

④で予約した日に公証役場に行きます。

公証人が本人確認を行い、公正証書の内容を読み上げます。

ここで内容に問題がなければ、公正証書の原案に本人と公証人が署名・押印をします。

最後に公正証書の作成費用を支払います。

 

作成された公正証書については、原本は公証役場に保管されますので、本人は正本や謄本を受け取ります。

これで公正証書の作成は完了します。

弁護士などの専門家に依頼する場合は手順のどの部分を対応してもらえる?

基本的に手順のすべてにおいて対応させていただくことになります。

契約内容の決定についてお打ち合わせをさせていただくことになります。

 

公正証書の作成にかかる費用

最後に、公正証書の作成にかかる費用について解説します。

①公正証書の作成費用

前述したとおり、財産だけで算出できませんが、財産額から必要な費用を算定すると下記の表のようになります。

目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

 

②弁護士などの専門家に依頼する場合の費用

弁護士費用についてはどこまで受任いただくのかによっても異なってきますが、主な費用として、契約書作成サポート、信託監督人報酬等になります。

契約書サポート費用については、最低33万円で難易度に応じ報酬は変わってきます。信託監督人報酬は、月額3万3000円からになります。

 

まとめ

以上述べてきましたように民事信託契約については公正証書を作成されることをお勧めします。

紛争を可能な限りなくすことが一番大事だと思います。

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