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民事信託(家族信託)が必要な人・不要な人の明確な違いとは?弁護士が解説!

「認知症対策には民事信託(家族信託)が良いと聞いたけれど、費用も安くないし、自分たちに本当に必要なのだろうか?」

将来への不安からこのページに辿り着いたものの、実際に導入すべきかどうか、迷われている方は非常に多いです。

結論から申し上げますと、民事信託(家族信託)は万能薬ではありません。

「不要なケース」も確実に存在します。

しかし一方で、「必要なケース」であるにもかかわらず対策を先送りにしてしまった結果、親御様が認知症になった瞬間に資産が凍結され、数百万〜数千万円規模の経済的損失や、ご家族間のトラブルに直面する事例も後を絶ちません。

この記事では、神戸・兵庫エリアで数多くの相続・信託案件を扱ってきた弁護士法人神戸マリン綜合法律事務所が、「民事信託が必要な人・不要な人」の明確な判断基準を解説します。

ご自身のご家族がどちらに当てはまるか、ぜひチェックしてみてください。

民事信託が「不要」なケース

民事信託は強力な制度ですが、全ての方に必要なわけではありません。

まずは、他の制度で十分対応可能であったり、そもそも信託になじまない「不要なケース」から見ていきましょう。

① すぐに現金化して使い切る予定の資産しかない場合

ご資産が主に預貯金のみで、不動産や自社株などがなく、その預貯金も「今後の介護施設への入居一時金や医療費で、数年のうちに使い切る予定」という場合は、民事信託を組むコストが無駄になる可能性があります。

この場合、金融機関が提供している「代理人届出制度」や、必要になった段階での「法定成年後見制度」の利用で十分なケースが多いでしょう。

② 家族(推定相続人)の仲が良く、資産構成がシンプル

「財産は自宅と少しの預金だけ。子供たちも仲が良いので、私が亡くなったら法定相続分通りに分ければいい」 このように、遺産分割で揉める要素がなく、かつ認知症による資産凍結リスク(後述する不動産売却など)が低い場合は、民事信託ではなく「遺言書」を作成しておくだけで十分目的を達成できます。

遺言書であれば、民事信託よりも費用を抑えることができます。

③ 家族(受託者)に財産管理を任せられる人がいない

ここが非常に重要です。

民事信託(家族信託)は、その名の通り「家族を信じて託す*制度です。

「子供とは疎遠だ」「親族にお金にルーズな人がいて信用できない」という状況で無理に信託を組むと、将来的に横領などのトラブルに発展します。

信頼できる親族が近くにいない場合は、民事信託ではなく、裁判所や専門家が監督する「成年後見制度」を利用し、弁護士や司法書士などの専門家に財産管理を任せるのが最も安全です。

民事信託が「必要」な3つのケース

では、反対に「絶対に民事信託を検討すべき人」はどのような方でしょうか? 

以下の3つのケースのいずれかに当てはまる場合、対策を急ぐ必要があります。

ケース①【不動産オーナー】売却・修繕の予定がある

これが最も多い「必要なケース」です。 

ご実家、アパート、マンション、駐車場などの不動産をお持ちの場合、所有者(親御様など)が認知症になり意思能力を失うと、一切の契約行為ができなくなります。

介護費用を捻出するために実家を売りたいが、売買契約ができない。

所有アパートが老朽化したのに、大規模修繕の発注や建て替えができない。

新たな入居者との賃貸借契約が結べない。

こうなると、不動産は「資産」ではなく、固定資産税や維持費だけがかかり続ける「負動産(空き家)」となってしまいます。

元気なうちに不動産の管理権限を家族に託しておくことで、このリスクを回避できます。

ケース②【二次相続の指定】妻の次の代まで資産の行き先を決めたい

遺言書では、「妻に全財産を相続させる」といった一代限りの指定しかできません。

妻が亡くなった後、その財産がどうなるか(妻の親族に行くのか、など)までは指定できないのです。

しかし、民事信託であれば「私が亡くなったら妻に、妻が亡くなったら私の甥に承継させる」といった、数世代先にわたる資産承継の道筋(受益者連続型信託)を法的拘束力を持って決めることができます。

これは民事信託にしかできない機能です。

ケース③【障がいのある子への支援】親亡き後の生活保障

障がいを持つお子様(財産管理能力が不十分な方)に財産を残す場合、遺言で大金を一括で渡してしまうと、詐欺被害に遭ったり、すぐに使い切ってしまうリスクがあります。

民事信託(福祉信託)を活用すれば、「信頼できる親族が財産を管理し、お子様には毎月決まった生活費だけを渡す」という仕組みを、親亡き後も継続させることが可能です。

「遺言」や「成年後見」ではダメなのか?

「もっと安い方法や、昔からある制度で代用できないの?」という疑問を持たれる方も多いでしょう。

ここでは、民事信託と他の制度の「決定的な違い」を解説します。

遺言書との決定的な違い

遺言書は、あくまで「亡くなった後」に効力を発揮するものです。 

生きている間、認知症によって口座が凍結されたり、不動産が売れなくなったりするリスクには、遺言書は無力です。

「生前の認知症対策」と「死後の遺産承継」をセットで解決できるのが民事信託の強みです。

成年後見制度との決定的な違い

認知症になった後の対策として「成年後見制度」がありますが、この制度の目的は「本人の財産を守る(減らさない)こと」にあります。

そのため、以下のような行為は原則として裁判所の許可が下りず、事実上不可能になります。

  • 相続税対策のための生前贈与
  • 孫の学費援助
  • 資産運用のための積極的な不動産の組み換え

「家族のために有効に資産を使いたい」「相続税対策を継続したい」という希望がある場合は、成年後見制度では対応できないため、民事信託が必要になります。

費用対効果をどう考えるか?

民事信託には、専門家への報酬や登記費用などの初期費用がかかります。

これを「高い」と感じるか「必要経費」と感じるかが判断の分かれ目です。

初期費用は「将来の損失」を防ぐための保険

確かに初期費用はかかります。

しかし、対策をせずに認知症になり、数千万円の不動産が売却できなくなったり(塩漬け)、成年後見人をつけた結果、専門家に支払う月額報酬がご本人が亡くなるまで長期間発生し続けたりするコストと比較してみてください。

民事信託の初期費用は、将来発生しうる数百万円〜数千万円の損失や流出を防ぐための「掛け捨てではない保険」と考えることができます。

専門家に依頼すべき理由

インターネット上の雛形を使って「自分たちで契約書を作ろう(自己信託)」と考える方もいらっしゃいます。

しかし、これは極めて危険です。

法的に不備がある契約書では、銀行で信託専用口座(信託口口座)が開設できなかったり、不動産登記が通らなかったりするトラブルが多発しています。

特に兵庫県内の金融機関でも、信託契約の内容に対する審査は年々厳格化しています。

確実な運用を行うためには、実務経験豊富な専門家のサポートが不可欠です。

まとめ

民事信託(家族信託)は、ご家族の財産と絆を守るための非常に優れたツールですが、すべての家庭に必須というわけではありません。

大切なのは、「自分の家庭の状況にはどの制度がベストなのか(民事信託か、遺言か、成年後見か)」を正しく見極めることです。

神戸マリン綜合法律事務所では、お客様の資産状況やご家族構成、将来のご希望を丁寧にヒアリングし、無理に信託を勧めることはせず、最適なプランをご提案しています。

「うちは民事信託が必要なケースに当てはまる?」

「費用対効果について詳しく知りたい」

など、少しでも迷われている方は、まずは一度ご相談ください。

手遅れになる前に、ご家族にとって最善の選択肢を一緒に見つけましょう。

民事信託の問題はお任せ下さい。

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