民事信託の際に必要な登記とは?

ここでは、実際に民事信託を設定する際に必要となる登記と登記事項について詳しく見ていきます。

 

民事信託で登記が必要なのはどんな時?

民事信託契約を締結したからといって全ての場合に登記が必要になるわけではありません。

登記が必要となるのは、信託財産に不動産が含まれるときだけです。

委託者が所有している土地や建物の不動産を信託財産として受託者に信託する際には、その不動産が信託財産として受託者に信託した事実を対外的に示す必要があります。

その際に必要となるのが、所有権移転登記と同時にされる信託登記になります。

 

不動産の民事信託で必要になる登記は2種類ある

信託財産に不動産が含まれる場合に必要となるのは、「所有権移転登記」「信託登記」の2つです。

この二つの登記の内容について詳しく見ていきます。

 

委託者が所有している不動産は、信託契約によって、所有名義が受託者に変更されます。

これは信託によって形式的に起こる事象ですが、対外的には所有権の名義変更を登記しておく必要があります。

信託財産の不動産は、受託者が受託されて管理する信託財産になりますので、受託者自身の財産(固有財産)と受託した財産(信託財産)を適切に分別して管理する必要があります。

そこで、所有権移転登記及び信託登記をすることによって、対外的に当該不動産が信託財産として委託者から受託者に信託されたことを対外的に示すことが必要となります。

 

所有権移転登記

当該不動産が委託者から受託者へ信託されることによって形式的に所有権が移転します。そのため、当該不動産について委託者から受託者への所有権移転登記を行なうことになります。

所有権移転登記を行なうことになるのですが、通常の所有権移転登記と異なる信託契約に基づく所有権移転登記であるため、登記の表示として、受託者は「所有者」ではなく「受託者」と表示されます。

 

信託登記

民事信託では、所有権移転登記に加えて、信託登記を合わせて行うことにより、当該不動産が信託財産であることを対外的に知らせることになります。

さらに「信託目録」によって、委託者・受託者・受益者に関する事項や信託条項が記載されます。

 

信託登記の登記事項は11種類

信託登記する際に記載しなければならない項目は、以下の11種類とされています。

  • 委託者・受託者・受益者の氏名、住所
  • 受益者の指定に関する条件または受益者を定める方法
  • 信託管理人がいる場合は信託管理人の氏名、住所
  • 受益者代理人がいる場合は受益者代理人の氏名、住所
  • 受益証券発行信託であるときはその旨
  • 受益者の定めのない信託であるときはその旨
  • 公益信託であるときはその旨
  • 信託の目的
  • 信託財産の管理方法
  • 信託の終了の事由
  • その他の信託の条項

 

民事信託の登記にかかる費用

登記をするにあたっては、費用として「登録免許税」が必ず必要となります。

登録免許税

民事信託のための登記をする際の登記につき一定の登録免許税がかかります。

実際に民事信託契約を締結する時点での最新の情報を取得するよう留意しましょう。

弁護士など専門家に依頼する費用

登記手続きは専門知識が必要となるため、一般の方が自身で行うことは実際のところ難しいと思われます。

その場合には、登記の専門家である司法書士に依頼することになりますが、司法書士報酬も必要となります。

民事信託契約書を作成する段階で依頼した専門家が司法書士ではなくとも、専門家同士で連携して民事信託のサポートにあたることが多いため、少なくとも民事信託契約書の作成を専門家に依頼した場合には、登記まで安心して任せておくことができるでしょう。

 

民事信託の登記の注意点

実際に民事信託に必要な登記を行なう際の注意点について見ていきましょう。

登記に反映することを忘れずに

登記は、登記事項を対外的に公に示す機能があります。

そのため、常に内容が正確であるよう維持しておかなければなりません。

なぜなら、登記すべき事項が登記されていないと、登記事項が存在することを対外的に主張することができなくなるからです。

計画的に申請手続きをする

登記申請は、ご自身で申請することも可能ですが、専門家に依頼することもできます。

ご自身で登記申請するに際しては、必要書類を準備し、申請書を作成するために、何度も法務局に足を運ぶ必要がある場合もあります。

また、申請書類に不備があれば、再度法務局に足を運び修正する必要があったりするなど、予想以上に手間と時間がかかる場合も十分にあります。

そのため、正確な情報をもって、計画的に申請手続きを進めることが大切です。

必要書類を紛失しないようにする

当初は、民事信託を視野に入れていなかったり、まさか登記申請をすることになろうとは思ってもいなかった場合などは、必要書類の行方がわからなくなったり、紛失してしまっている場合も考えられます。

信託しようとする不動産についての書類は、民事信託契約の作成当初から手元に用意し、紛失している場合には必要な手当てが行えるよう、万全の態勢で臨みましょう。

登記事項に個人情報は入れない

登記事項の最後の項目である「その他の信託の条項」については、どこまで記載すべきか判断が必要となります。

不動産の登記事項証明書は誰でも取得できることから、信託終了後の財産を誰に帰属させるのかなどを記載してしまうと、財産を誰に遺したいのかといったプライバシー情報について公開してしまうことになるため気をつけましょう。

 

登記した信託内容に変更がある場合は登記手続きが必要になる

ご家族や資産の状況の変化によっては民事信託契約内容を変更することが必要になることがあります。

登記済みの信託の契約内容や、委託者・受託者の氏名・住所などが変更された場合には、改めて変更登記手続きが必要になります。

 

まとめ

信託財産に不動産が入っている場合には不動産登記が必須となります。

登記手続きには専門的知識が必要ですが、専門家に依頼することで安心して適切な手続きを行なうことが可能になります。

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