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民事信託で相続税や贈与税はどうなるのか?節税対策の効果はある?

最近、民事信託には節税効果があるという言葉を耳にすることがあります。

実際にはどうなのでしょうか。

特に相続税の問題については、暦年贈与が遡るといった話も出てきており、信託を使って節税をしたいと考える方もおられるかと思います。

民事信託に関係する税金は、所得税、法人税、住民税、固定資産税、不動産取得税、相続税、贈与税等あらゆるものが出てきます。

信託における税制の特徴は、①受託者には、形式的な権利が帰属しているにすぎないこと、②受益者は実質的に利益を享受する者であるということ、③相続税と均衡を図るということです。これら3つの視点から制度が構築されています。

そこで、民事信託を用いることにより相続税や贈与税はどうなるのか。

受託者と受益者に分けてそれぞれ解説をしていきたいと思います。

 

そもそも民事信託でかかる税金にはどんなものがある?

まずは民事信託でかかる税金について受託者が対象となるものと受益者が対象となるものに分けて解説します。

受託者が対象となる税金

受託者が対象となる税金として、登録免許税と固定資産税が挙げられます。

それぞれ解説します。

登録免許税

登録免許税は、不動産を信託財産とする場合に信託財産を管理するだけなので受託者に登録免許税は課されません(登録免許税法7条1項1号、3号)。

他方、委託者や委託者の相続人以外の者へ不動産が移転するような場合、登録免許税法7条が適用されず、登録免許税が課されることになります。

税率は、不動産の価額の1000分の20になります。

また、信託登記に関する税率は、不動産の価額の1000分の4になります。

固定資産税

固定資産税については、不動産の固定資産を保有するという事実に着目したものですので、毎年1月1日現在の不動産登記簿上の名義人に課税されるものです。

信託された不動産について、登記簿上の所有者とされている受託者に課せられることになります。

都市計画税についても同様の取り扱いがなされています。

 

受益者が対象となる税金

受益者が対象となる税金は贈与税・相続税・譲渡所得税・信託期間中の税金の4つです。

それぞれ解説します。

贈与税・相続税

信託組成時に、形式的に受託者に財産が移転するが、受託者が実質的に利益を享受するとはいえないので、受託者に所得税、法人税は課されません。

他方、民事信託の継続中に受益権の帰属に変動が生じる場合。受益権を取得した者は、贈与又は遺贈により受益権を取得したものといえ、贈与税や相続税が課されることになります。

信託終了時、受益者でなかったものに権利を帰属させる場合、贈与・遺贈がされたものとみなして贈与税・相続税が課されることになります。

さらに、信託継続中の信託財産からの収益がある場合、受益者の所得として課税されることになります。

相続税法は、9条2から6まで「信託に関する特例」を設けています。

9条の2第1項では、信託の効力が生じた時点で、適正な対価を負担せずに受益者になる者が、委託者から贈与・遺贈により取得したものとみなす旨規定されています。

譲渡所得税

受益者が信託財産から利益を受ける信託受益権を第三者に売却した場合には、売却により生じた利益に対しての譲渡所得税が受益者に課税されます。

また、信託した不動産を売却をした場合に譲渡所得が発生した時も、上記と同様に受益者に譲渡所得税が課税されます。

このように受益者が有する信託受益権を第三者に売却したり、信託不動産を受託者が売却した場合に譲渡所得税が課税されますが、特に売却などの行為がなければ譲渡所得税はかかりません。

信託期間中の税金

信託期間中は、受益者に所得税・住民税がかかります。

信託継続中の信託財産からの収益がある場合、受益者の所得として課税されることになります。

 

民事信託はそのものは直接的な節税にはならない

民事信託を組成しても、基本的には節税になりません。

節税目的で基本的に利用するものではないことについてはご留意頂きたいと思います。

 

民事信託で節税になるケースをご紹介!

最後に民事信託で結果的に節税になるケースを2つご紹介します。

委託者の判断能力がなくなった場合

委託者の判断能力がなくなった場合、つまり民事信託契約によって受託者が委託者の代わりに財産の処分・運用が可能が可能になったような場合、節税になります。

受託者が生前対策を実行できるため、結果的に相続税対策ができることになります。

事業承継時に自己株式の信託を設定した場合

事業承継時に自己株式の信託を設定したような場合、相続時に株価が高騰しているような場合、結果として節税になることがあります。

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